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雨ニモマケズ
小野

 夏休みの風物詩の1つが甲子園。毎年高校球児たちがひたむきに頑張る姿にはいつも感動させられます。
 
 と言いながら今年も夏期講習に追われ、気がつくといつの間にか決勝戦。高商どうなった?とも聞けず、時代についていけていない自分がいました。
 
 決勝戦まで上り詰め一躍話題となったのが秋田県の金足農業高校。どのチームも必死に練習してきた強豪高ばかり。その中で勝ち進むのは大変な努力だったと思います。「雑草軍団」との異名もあり、決して勝つのが当たり前とは思われていなかった高校が、甲子園常連校に勝っていく姿が余計感動を与えたのかもしれません。相手チームの監督にも感銘を与えるほどでした。試合の勝ち負けに関わらず全力で頑張る姿は見るものに元気を与えてくれますね。
 
 秋田県のお隣りにある岩手県花巻市が生んだ作家宮沢賢治。代表作の1つに「雨ニモマケズ」があります。
 
 雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ …
 
 初めて読んだとき、深い意味はよく分かりませんでしたが、なんだか感動した記憶があります。
 
 何ものにも負けない、そういう者になりたいというあこがれがあるのかもしれません。
 
 現実は、山にも行けず、海にも行けず、夏の暑さに負けない丈夫なエアコンのもとで仕事をしていますので、すっかり体がなまってしまいました。暑い中勉強にスポーツに全力を注いでいる学生たちに頭がさがります。
 
 我が家では今年の夏の暑さに負けて、エアコンが壊れてしましました。(そういえば塾のエアコンも故障してしまいましたね。)エアコンなしであと少し我慢と言い聞かせながらも、さすがに冬の寒さに耐える丈夫な身体は持ち合わせていないしなぁと悩んでいます。
 
 それにしても今年の夏は記録的猛暑、記録的豪雨・台風、と各地で大変でした。毎年聞くようになった「記録的~」。温暖化の影響でしょうか。ここ富山県も今年の冬、来年の夏と、決して無事でいられる保障はありません。
 
 ブラジルの友人が、日本の震災の様子をニュースで見て、そんな危ない所によく住んでいられるね。ブラジルにおいでよ。と誘われたことがありましたが、ブラジルでの窃盗事件やスラム街などの話を聞くととても住む気にはなれませんでした。ここにいれば絶対に安全・安心、という場所はないということでしょう。
 
 どんな自然災害や事故、犯罪にも負けないのは映画かアニメの中の主人公ですが、現実には些細なことで心が折れてしまうこともしばしばです。高校球児たちが勝ち負けを超えて感動を与えてくれるように、勝っても負けても人生に感動を与えてくれるもの、そういうものを得ている人が本当の勝者なのかもしれません。

J-PRESS 2018年 9月号