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圧縮効果
木村

 5月、春を通り越してすっかり夏の陽気が続いています。そしておとぎの薔薇が咲き始めると、またカメラを持ち出して撮影してしまいます(笑)花シリーズは昨年もたくさん撮りましたし、今年はもういいや。でもせっかくこんなに咲いているから、手持ちのiPhoneでどこまで凝ったものが撮れるかやってみよう。望遠は画質がかなり落ちるから却下。露出を変えてみたり、広角を活かした構図を考えてみたり。「男の人って、写真に凝りだすとなぜか機械の方向にいくよね(笑)」と言われ、もっともだなぁと苦笑い。たしかに、大切なのは機械ではなく、どんな絵を撮れるか。いいタイミングでいい表情が撮れたらiPhoneだろうが何だろうが、何度も見返してしまいます。
 
 でも、私の周りは女性でも一眼レフの人が多くて、女性の手にはちょっと大きい一眼を、みんな両手で抱えるように撮影しています。ひと工夫でiPhoneでもよい絵が撮れるなら、小さな一眼でも工夫すれば可能性も広がるはず。ちっちゃい子供の表情も、iPhoneでももちろんかわいいものですが、たまに一眼の絵を見ると「おぉ!」と思わず声が出ます。2回目の演奏会撮影は、そんな人たちの集まりだから、せっかくだから声が上がるような絵ができないかなぁと考え中。そこで「古くて安い」超望遠レンズ(400mm、APSCで640mm)を入手しました。超望遠の作例はどれを見ても、鳥と飛行機ばかりで私はどちらにも興味はないのですが、奥行きがぐっと狭められて写る「圧縮効果」に期待しています。これはiPhoneではなかなか撮れないだろうな(笑)
 
 さて、その初挑戦だった演奏会撮影ですが、暗いホール、出演者は動く、照明などで明暗差が大きい、お客さんの邪魔にならないように移動する、ステージの奥行きに合わせて深度を決める、そのため絞るから感度を上げざるを得ない。ここまでは予想していたのですが、高感度がどこまで耐えられるかは、iPhoneや小さな一眼ではかなり厳しいためフルサイズと歴然とした差がでました。ところがフルサイズはシャッター音が大きく(古い機種のため静音シャッターなし)、演奏会で異音は厳禁。次回、いかにして音を抑えながら「おぉ!」と声の上がる絵が撮れるか試行錯誤中です(笑)

J-PRESS 2017年 6月号