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Just relax !
藤浪

 現代はストレス社会ともいわれる。老若男女を問わず誰しもがなにがしかのストレスを経験する。子供には子供の、大人には大人のストレスがあるだろう。昨今の世相を見るにつけ、このストレスに対処することがいかに重要かを思い知らされる。
 
 ところで,そもそもなぜストレスを感じるのだろう。たとえば物事が順調に運んでいるときにストレスを感じるだろうか。勉学であれ仕事であれ対人関係であれ、何でも自分の思い通りになればストレスなどとは無縁だろう。ところが現実にはそのようなことはあり得ない。つまりストレスは避けられないもの、いやむしろあるのが普通なのである。ではこのストレスにどのようにして向き合うことができるだろうか。
 ストレスという言葉にはマイナスのイメージがつきまとうが、必ずしもそうとはいえないだろう。人間にはある程度のストレスは必要であると思う。何らかの壁に直面したときに経験するストレスは、その障壁を乗り越えようとする意欲を生むものである。そこには様々な試行錯誤があり、その努力が人を成長させるものとなるだろう。逆に、ストレスがなければこの過程が失われ思考力や忍耐力を培うことは難しい。
 問題となるのは過度のストレスである。つまり、自分でどれほど努力してもいかんともしがたい事態にどう対処するかである。ストレスを軽減する方法として一般的には、十分な休息、バランスのとれた食事、適度な運動、話を聞いてもらう、完璧主義にならない等があげられる。私の知人(女性)はストレスがたまるとバッティングセンターに出かけるという。ボールを思いっきり打つとスッキリするらしい。人それぞれいろんな方法があるものである。
 
 かくいう私のストレス解消法は、以前は歌うことだった。それも車の中で。そこではご近所に気兼ねすることなく思う存分歌える。これでスッキリだった。ところが近頃、歌うことが逆にストレスを増し加えるものとなってしまった。なぜなら、有名な歌手の歌を聴くうちにこちらの耳が肥えてしまい、自分の歌がなんともお粗末に思えてきたのである。
 「この部分の歌い方がどうも違うんだよなあ。」何度も繰り返して歌ってみるが、やはり納得がいかない。「どうやったらこのCDみたいに歌えるんだろう。」そんなことを考えているとどんどんストレスがたまっていく。「こりゃだめだ。次元が違いすぎる。」
 
 そこで現在のストレス解消法。それは音楽をただ聴くこと。今のお気に入りはフィッシャー・ディースカウの歌うシューベルトのGute Nacht。この曲を部屋の明かりを暗くしてしっとり聞くのがなんともよい。そうすると徐々に気持ちが落ち着いてくるのがわかる。よし、これでしばらく行けそうだ!

J-PRESS 2008年 9月号