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「筍(たけのこ)」はお好き?
藤浪

 もうすぐゴールデンウィーク。この時期、スーパーには季節の風物詩「筍」が並んでいる。「筍」はお好きだろうか。そう聞かれると私は「ビミョー」と若者言葉を発したくなる。なぜって、あの「ビミョー」な淡い味わい、なんとも和食的といえばそうなのかもしれないがコッテリ濃い味大好きの私にはどうも物足りない。
 
 そんな私が大学生の頃、頻繁に筍を使った料理をしていた。それは、八宝菜。当時、私は健康を考え野菜を取るために野菜炒めを常食していたのだが、いくら食に関心が乏しかった私でも毎日同じものを食べているうちになんだか物足りなさを覚え、塩味、しょうゆ味、トウバンジャン炒め等、レパートリー?を増やしていったのだった。しかし、所詮、このような小手先の変化で満足できるのはつかの間だ。
 
 そんなとき、スーパーで見つけたのが「八宝菜の素」だった。これを水に溶いていつもの野菜炒めに混ぜるだけで八宝菜の出来上がり。「これはいける」と思った私は即購入を決意。更に、パッケージにはあの「筍」らしきものが。「そうか、筍も一緒に入れて炒めればいいんだ!」勢い勇んで「筍」コーナーへ。ここで重大な問題が浮上。「筍ってどうやって料理するんだろう」そこでしばし葛藤。「とりあえず、皮をはいで煮ちゃえばいいんじゃない。いやいや、そんなに簡単だろうか。煮るっていってもうちの鍋に入るのかなあ。だいたい時間がかかりそう。ずっと鍋のそばで付きっきりじゃなあ。やっぱり無理か」浅はかだったことに気づきトボトボ歩いていると、なんと発見「筍だ!」私の目前に「たけのこの水煮100円」のラベルが。「こりゃすごい。わざわざ筍を煮てくれてこの値段だなんて。なんてご親切なんだ!」感動覚めやらぬ間にビニール袋に入れレジへ直行。
 
 自分で作った八宝菜(といっても「八宝菜の素」使用だが)。「うまい、やっぱり筍はこの食感だよねえ。」、と分かったようなことをつぶやき、ご満悦な私。この後、しばしば「八宝菜の素」と「たけのこの水煮」を買うことになる。
 
 話は変わって、数年前のゴールデンウィーク明けにニュージーランド出身のS氏と交わした会話。「コウイチ、休暇中にどこかに行ったかい?」とS氏。「妻の実家の裏山で筍を掘ったよ」と私。ちなみに筍はバンブースプラウト(竹の芽)と表現した。「筍を掘った? なんで?」とS氏。「食べるんだよ」と私。そんなもの食べられるのかと驚いた様子のS氏。「スーパーに行ったらたくさん並んでいるよ」と私。「どうやって食べるの?」とS氏。ここで、本当は重曹を入れた水に筍を入れて、丁寧にアクを取りながら煮るんだよと言いたかったのだが、どう表現していいか分からず、とりあえず「煮るんだよ」とだけ答えておいた。この後、S氏が筍を購入したかどうかは不明だが。
 
 ところで、みなさんは「筍堀り」をされたことがあるだろうか。私は妻の実家の裏山で何度か経験がある。しかし、発見するのはなかなか難しい。コツがあるそうなのだが・・・。今年は発見できるか? 乞うご期待!

J-PRESS 2007年 5月号