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77円の作法
深田

 ある調査によると、日本人がレジでイライラせずに待つことができる時間は、スーパーで3分、コンビニだと1分だそうだ。
 
 混雑しているコンビニのレジで会計する際、後ろに並ぶ人に配慮して処理時間を短くするのは1つのマナーといっていい。混雑する時間帯には、レジでの振込や宅配便発送を避けたり、小銭をあらかじめ用意してつり銭のやり取りを極力減らす行為は『暗黙の了解』に近いものだと思われる。
 
 しかし、どんな店でも空気を読む客ばかりとは限らない。順番待ちの客を後ろに何人も従えているのに、支払うときになって初めて財布を取り出し、さらに1円単位までピッタリ払おうとして、レジの流れをせき止めてしまう客。その背後で「早くしろ」と心の中で叫んだことがある人は多いのではないか。
 
 レジでの会計の際、小銭をスムーズに支払うにはどうすればよいのだろうか。最も望ましいのは、つり銭が要らないよう、前もって準備しておくこと。でも陳列棚からピックアップしたばかりの商品の合計額を瞬時に計算して小銭を用意するのは、簡単なことではない。
 
 となると、なるべく小銭の出し入れを少なくなる最大公約数的な額を見つけ、レジへ向かう間にその金額を手に握っておくのが、会計を早く終わらせるテクニックということになる。
 
 それでは、その金額とはいくらなのか。実際に計算した人がいる。ズバリ「77円」だそうだ。それも「50円玉1枚と10円玉2枚」+「5円玉1枚と1円玉2枚」の組み合わせでなければならない。この組み合わせが、財布から小銭を出し入れするときの手数を最小化できるというのである。
 
 具体的に例をあげてみる。支払額の端数が99円だった場合、手元に「77円」あれば、財布から10円玉2枚と1円玉2枚を追加することになる。4枚の小銭を追加するので手数は「4」である。もし、端数が23円だった場合は、50円玉1枚と5円玉1枚を財布に戻し、1円玉1枚を追加するので手数は「3」となる。また、下2ケタの端数がなかった場合には、手元の小銭をすべて財布に戻すことになるが、このときには小銭を選別しなくていいので、手数は「1」で済む。こうして00~99円まであらゆる組み合わせをシミュレーションしてみると、いちばん小銭の出し入れが少なくて済むのが「77円」なのである。
 
 財布にあらかじめ十分な小銭が用意されていることなどいくつかの前提はあるものの、お札だけで支払う方法とこの方法を状況に応じて使い分けると、確実に会計スピードは速くなる。また、財布の中の小銭が適量に保たれるというメリットもある。中高生の皆さんも、ぜひこれらのテクニックを駆使してレジのファーストイン・ファーストアウトを実践してみてはいかがだろう。

J-PRESS 2006年 12月号