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チはチャレンジのチ
石川

 何年か前のある土曜日の朝、寝ぼけた眼をこすりながらテレビの電源を入れると、一瞬で眠気も吹っ飛ぶ光景が、シナプスを震わせながら視神経を伝って脳に飛び込んできました。
 
 飛ぶ、ガチャピン。
 
 モトクロスバイクに乗ったガチャピンが高々とジャンプを決めつつデッドヒートを繰り広げ、しかも速い! 結果はなんと6位入賞。おっとりとして人の良さそうな(恐竜だけど)ガチャピンが容赦なくライバルを蹴散らし、時には幅寄せ・ブロックを駆使して、人が変わったような(恐竜だけど)大爆走。
 
 いつしか手に汗握ってテレビ画面に釘付けになり、これ以降しばらく続いたガチャピンのチャレンジを追い続け、毎週土曜日は早起きすることに。
 
 ある週は目もくらむような断崖絶壁でロッククライミング。あの手足でどうやって岩場をホールドしているのか、さすが恐竜の子、あなどれません。
 
 別の週はパラセイリング。鳥類は恐竜から進化したという説もありますが、ダーウィンもビックリです。
 
 さらにはスキューバダイビング。フグとたわむれる姿はあまりにシュール。表情の無いはずのフグが脅えて見えるのは、はたして目の錯覚なのか。
 
 スノーボードに挑戦したときは見事なターンまで決めています。何年後かの冬季オリンピックの表彰台には、あのつぶらな瞳の緑色の巨体が立っているかもしれません。表彰式でメダルを首にかけてあげる人は、きっと難儀するだろうけど。
 
 ところでムックはといえば、のんきに相棒の応援。「気をつけるですぞ~」などとお気楽なものです。でも、さすが雪男の子。スキーだけはガチャピン顔負けの見事な滑りを見せていました。
 
 昔から逆境に出遭うと「親や、さらにその親の世代の苦労に比べれば…」と思い自分を奮い立たせてきましたが、最近では「ガチャピン(の中の人)に比べればこれぐらい…」なんて思ってしまったり。
 
 さぁ、いよいよ春。新年度のスタートです。ガチャピンのように、いろんなことにチャレンジしてみませんか? 自分もこれまで以上に新しいことに挑戦してみようかなと思います。
 
 でも、ムックののほほんとしたお気楽さも捨てがたい…

J-PRESS 2006年 3月号