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マは誠のマ
石川

 今年のNHK大河ドラマ「新選組」、時代考証がおかしいだの若い俳優ばかりの配役で厚みがないだとか、いろいろ酷評しているメディアもあるようですが、個人的には昔から新選組が好きということもあり、毎週欠かさずみています。
 
 2月29日現在、ドラマはまだほのぼのとしていて新選組は結成されていませんが、今後の展開は波乱万丈、山あり谷ありになるはずで楽しみです。
 
 新選組って何? という人もいると思うので、すこし説明を。
 
 江戸時代の終わり、鎖国をやめ外国との交流を持とうとした幕府と、外国人を追い出し幕府ではなく天皇中心の国家をつくろうとした尊皇攘夷(そんのうじょうい)派とよばれる人たちが争いました。新選組は、幕府の命令で攘夷派の人たちを取り締まるために京都で結成された組織です。その取り締まりは大変厳しく、攘夷派からだけでなく京の町の人々からも「人斬り集団」と恐れられたようです。また、厳しさは自分たち自身にも向けられ、武士としてあるまじき行為をした者は切腹。従わない場合、隊士自らが粛清したようです。たとえば、初代局長 芹沢鴨も乱行のために殺され、近藤勇が局長になります。
 
 局長の近藤勇、副長の土方歳三、天才剣士沖田総司をはじめ、新選組のメンバは現代でも人気があります。こんな恐ろしい集団なのに、なぜ人気があるのでしょうか。その理由のひとつが、彼らの誠実さではないかと思います。
 
 局長の近藤も副長の土方も、常に先陣で戦い、自分だけ安全なところにいたり楽をしたりすることは無かったそうです。実際、土方は幕府軍とともに最後の最後まで戦い抜き、五稜郭の戦いで銃弾に倒れました。リーダー自らが、その誠実さを態度で示すことで、隊士の士気も上がり、団結も強まったのでしょう。厳しい規律も、その誠実さの表れではないかと思います。
 
 ところで、みんなが使っている歴史の教科書に新選組についての記述はまったくありません。歴史の大きな流れから見れば新選組なんて重要ではないのでしょう。でも…
 
 教科書に書いてない部分にこそ、歴史の面白さがあるような気がします。「歴史なんて暗記ばかりでつまらない」と感じている人、年表の行間に注目してみてください。歴史はドラマより、ずっとずっとドラマティックですよ。
 
 そういえば、NHKのウェブサイトに「新選組」の主役、香取慎吾の写真が全くありません。肖像権の問題らしいですが、NHKにさえ所属タレントの画像を勝手に使わせないジャニーズ事務所って、もしかすると新選組より厳しい組織かも。

J-PRESS 2004年 3月号