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はじめてのC
石川

 はじめてCに興味を持ったのは、小学校6年生のときでした。
 きっかけは、本屋で立ち読みしていた雑誌の記事です。
 そんな雑誌を読んでいる小学生は珍しかったのか、周りの人から好奇の目で見られたのを覚えています。
 最近は小・中学生でCなんて珍しくもないようですが、当時は大学にでも行かなければなかなか体験できないものでした。
 しかし雑誌の記事も簡潔なもので、詳しいことは、さっぱり分かりません。
 当時は、まだ分かりやすくCを解説した本などほとんどなく、あったとしても、いかにも専門書という感じのとっつきにくいものばかりで、図や写真を使った分かりやすいものとなると、皆無でした。
 
 あれこれ想像するうちに、ますますCへの興味は募ります。
 中学2年生のときには、高校生の先輩に「Cに興味があるんですけど」と聞いてみました。
 先輩は、「中学生には、まだ早い」と相手にしてくれません。
 
 「はじめてのC」という本が出版されたのは、そんなある日のことでした。
 
 初心者向けに書かれたその本は、Cの基本を簡潔かつ丁寧に説明してあり、図や写真も多く使われ、リアルで分かりやすい内容でした。
 この本との出会いによって、漠然としていたCのイメージは、より具体的なものとなり、理解も深まっていきました。
 あとは実際に体験するだけです。
 
 チャンスは意外と早くやってきました。
 高校1年生の夏休み、いよいよCを実際に体験する日がやってきたのです。
 もちろん最初からうまくいくはずもなく、何度か失敗しましたが、なんとかやりとげることができました。
 初めて動かしたCのプログラムは、
 
#include <stdio.h>
main()
{
    printf("hello, world\n");
}
 
という単純なものでした。
 それでも、自分が入力したプログラムが正しく動いた嬉しさは今でもよく覚えています。
 
 当時からは想像もできないほど、インターネットなどの情報通信技術は発達しましたが、このネットワークを支えるコンピュータプログラムの多くはCでつくられています。
 自分の場合は、はじめて手にした解説書が良いものだったおかげで、重要な技術を早い時期に習得することができました。
 
 春4月、いろいろなものが新しくなるこの季節、みなさんも様々な「はじめて」を体験するでしょう。
 はじめての学校、はじめてのクラス、はじめての友達、はじめての部活動、はじめての…
 これからの人生に彩を加えてくれる素敵な「はじめて」の体験が、今年もたくさんあるといいですね。

J-PRESS 2002年 4月号