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迎春
豊本

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 
 さて、平成10年が始まりました。初詣にすでに出かけた人も多いことでしょう。神社で参拝するとき、さい銭を投げ入れたり、拍手(かしわで)を打ったりしますが、不慣れなせいか、参拝中は妙に周りが気になるものです。
 
 ところで、この拍手、これは大昔の日本人の生活習慣からきていることを知っていますか。有名な卑弥呼の話を載せている「魏志倭人伝」には、「倭人(日本人)は、偉い人に会ったときは手を打つ」と書かれています。つまり現代の握手などと同じように、手を打ってあいさつをしたらしいのです。
 
 この拍手は「魂振(たまふり)」といい、その音で神様を招き、互いの魂を振り動かすという神への祝福方法でした。
 
 なお、拍手の打ち方は、普通"二拝二拍手一拝"。ただし、神社によって異なることがあるので、参拝のしかたが記してある神社などでは、それに従いましょう。
 
 次の話題は伝統のお正月飾りです。まず、鏡もち。丸い形は霊魂の象徴だという説や神聖な鏡だという説などありますが、いずれも米への信仰が根底にあると言われています。また、だいだい(みかん)は子孫代々の意の他、黄色は生命力を表しているそうです。梅もどきやゆずり葉は子孫繁栄、南天は難を転ずるという言われがあります。シダの葉は裏白と呼ばれますが、裏も表もない正直な気持ちを表現しています。面白いのは干し柿。両側に2個、真ん中に6個並べて、「夫婦ニコニコ仲むつまじく」の意味なのだそうです。
 
 さて、冬休み最後の日は七草がゆの日です。あなたは春の七草が全て言えますか。七草がゆは古代の薬膳とも言われ、お正月の食べ過ぎた胃を休める効果があります。七草は次のとおり。せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。覚えましたか。

J-PRESS 1998年 1月号